伊瀬 |
CDって、「物」になっちゃってますからね。記念品って言ったら言い過ぎかもしれないけど、証拠品というか、永久に残るひとつの物。それは機械があるからできるもんやし。同じものが何万枚とか作れるのは機会のおかげで。それは便利でありがたいものですけど、ライブは人間対人間ですもんね。 |
BASI |
そうそう。ライブは一回きりやもん。逃げ場ないし。 |
伊瀬 |
今の時代にいろんなことが見直されて、そういうナマのやりとりの方に人間は向いて行ってるんちゃうかなと思いたいですね。 |
BASI |
だから韻シストもソロも、ライブを止めるつもりはないし。どんどんやっていきたいし、どんどんやったことない環境でもやりたいねん。今そういうのが必要やと思う。 |
伊瀬 |
ほんとにBASIくんがさっきから言ってはるように、とにかく先に人が集まれる「場」を作って、その人たちに届けるっていうのはまず原点ですね。そういうスタンスめっちゃ応援したいです。生身の人間のやりとりが一番基本やと思いますもん。 |
BASI |
そうそう。だからLIVE IS BASICっていうイベントも今年からやっていくし、今はそれが自分の原動力。何で音楽やってるって言ったら、もうライブやね。作品作りたいっていう願望もあるけど、さっき言ったように満足してるところがあるから。それやったら『スタンダード』とかをもっともっと広げたいし。ライブでもっと伝えていきたい。 |
伊瀬 |
そうですよね。急いでどんどん作っていくのが良い、ってことでもないでしょうし。一曲一曲を大事に、長く、歌っていく、歌われていくっていうことも、なんかいいですよね。 |
BASI |
そやねん。そういうことをやっていかなあかんなあって思ってて。ここからどんどん作品を作っていくとなると、一曲一曲がおろそかになってしまいそうで。 |
伊瀬 |
昔って、スピーカーとかCDとかないわけじゃないですか。家の中にステレオないし、田植えの時とか村祭りのときにみんなで歌うのとかって、 すごい特別やったんちゃうかなと思うんです。そんな中でも、芸者さんの歌とか民謡とかって、人づてに長く歌われてきて。そんなの考えたら、一曲の力って、もっとあるかもしれんって思います。新しいものをどんどん作っていくのもまた素晴らしさがあるでしょうけど、一曲を長く、とか、じわじわ、とか、そういうことがあってもいいと思います。せっかく魂をその一曲に込めてつくるんなら、大事に長く、何回も聴いてもらえればいいと思いますけど。 |
BASI |
うん。速さとかサイクルとかも大事やと思うけど、今言ってくれたように魂込めたものは単発でアッサリ次に行くようなものじゃないというか。どんどんと伸ばしていって、根付かしていって、太くしていって、っていうことやと思うし。いまだに数か月前の曲のPV作ったりしてるけど、さらに『スタンダード』のアナログを出すんやんかぁ。 |
伊瀬 |
おお、すごいですね。 |
BASI |
若いときってそんな感覚あんまりなかったけど、今はそっちの方が大事。 |
伊瀬 |
だって曲名が『スタンダード』ですもんね。 |
BASI |
そう!その曲名に恥じないように。あの曲はオレ、今一番好きな曲やし。あんまり自分の曲にランクとか、この曲の方が好きとかないねんけど、『スタンダード』はすげえ特別やから。今回Remixも作ってんけど、大事に色んな表現もしていって、でもスタンダードな思いは変えずに、これからも音楽人生全部かけてあの曲は伝えていくと思う。 |
伊瀬 |
そういう話聞けて、なんか、よかったです。 |
BASI |
大丈夫かな?なんか好きなことばっかり喋ってるだけやけど。 |
伊瀬 |
大丈夫です大丈夫です。今の使い捨て社会の中で、すごい大事な部分やと思います。 |
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