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BASI
『VOICERATION』はみんなで「ダークなアルバムを作りたいなあ」って言ってて。

伊瀬
はいはい。

BASI
ダークって、なんか暗い感じに思われがちなんやけど、カッコいいダークを作りたいなって思って。ジャケットも真っ暗で無機質な世界観やし。

伊瀬
うんうん。

basi_voiceration

BASI
始まりって、それくらいのもんやねん。「まずコンセプトは…」とか、そんなんではなくて。周りの人からは「こうこうこんなコンセプトなんでしょ?」とか聞かれたりもするんやけど、始まりは全然ザックリしたもんで。

伊瀬
ああ、それくらいの感じなんですね。

BASI
でも日本で様々なことがちょうど起きて、そんな中で表現もちょっと変わっていって。『スタンダード』は自分の中で再生の歌やねんけど、その曲をキッカケに『未来』とか『希望』とかができていったなあ。

伊瀬
そうだったんですか。ただダークなだけじゃなく、そういう曲が入ることで、心地いいアクセントになってますもんね。

BASI
うん。ほんまちょっと前、4.5年前とかやったら自分の曲に未来とか希望とか絶対つけてへん。ていうか、むしろそういうワードは省いてたよな。でも今はまさにラップで「未来」とか、ラップで「希望」とかっていうことを歌いたいから。

伊瀬
なるほど。

BASI
最初は「ダークなアルバムを作りたい」っていう無邪気な、純真無垢な感覚で行ってたけど、物事とか世間とか環境を見てると段々そんなこと言ってられへんっていうエリアまで来たから。「VOICERATION」はそういう風に、作っていく中で自分のことをもう一度見つめなおしたっていう作品やね。

伊瀬
ダークな中に光が包まれることによって、より光が際立ったり、またダークな部分も際立ったり、お互いがいい作用を生んでますよね。

BASI
そういう「白と黒」っていう感じも、伝えたいことやなあ。

伊瀬
でもホントに、言葉のチョイスっていうか、幅広いなって思うんですよ。日ごろの観察とか感性とか、もののとらえ方っていうのが幅広くないとできないことじゃないですか。

BASI
自分の中ではむしろ、1stのときよりそういう部分を抑えたつもりやけどなあ。

伊瀬
凝縮したような感じですか。

BASI
うん、凝縮した感じ。『RAPAMAZING』のときは「ニラ」とか「ヨネスケ」とか、そういうのも狙ってたけど、『VOICERATION』は同世代の人たちとか、年上の人でも聴いてスムーズに届くグッドミュージックを心がけたつもり。それでも言葉選びに対してそうやって評価してもらえるっていうのはめっちゃ嬉しいなあ。

伊瀬
狭くなってたとしても、その分深まってると思います。「ヨネスケ」みたいな突飛な言葉は出てこなくても、心にしっくりくるというか、ビートにしっくり乗るというか。そういう言葉選びは簡単にできることじゃないと思いますもん。

BASI
それは嬉しいなあ。意識して言葉選びを抑えにかかってたとこあるから。でも自然にそういうことができてるんやったら、それは嬉しい。

伊瀬
あと、メロウなところがこのアルバムの特徴じゃないですか。それは理由があるんですか?

BASI
うーん、わからん。オレ、メロウなんが好きやから。HIPHOPのアルバム聴いてても、ハードなものの中でも後半とかに一曲、泣きの曲とかメロウな曲あるやん。オレどっちかいうとそういうのばっかり聴く方やから。
アウトプットするときに、そういうスイッチになってるんかも。そういうものしか出えへん、っていうか。

伊瀬
なるほど。

basi_rapamazing

BASI
あとやっぱり東さんのビートに「ヨネスケ」とか「ニラ」が似合えへんくて(笑)ビートに「ハンガーの引っ掛け」みたいなのがあって、そこにいろいろ引っ掛けたり外したりしてると、メロウなのがよく似合ったっていうのがあるかなあ。

伊瀬
BASI君の伝えたいことと、ビートメーカーの作るビート、その2つの要素のマッチのさせ方って、すごいセンスが要るように思います。そこがめっちゃ個性出てるんかなあって。ビートメーカーのためだけに曲を作ってるわけではないでしょうし、かといって自分の言葉だけでもないっていう。

BASI
ああ、それすごい指摘やなあ。そんなんは考えたことなかったな。とにかく、似合うものを着せていって、っていう感覚で作ってきたからなあ。

伊瀬
そういう、感覚的に作ったもので、周りのみんなを楽しませてるっていうのは、すごいと思います。

BASI
それが音楽やもんな。理由とか説明とか、そういうのないもん。「なんでこれができたんか」とか
「どこからこれが来たんやろ」って考えたら、わかれへん。

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